The Power of Audio: Chapter 2

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インパクト: 伝わるメッセージ

「ベッドから起きて真っ先にするのは、スマートフォンを充電器から外してスピーカーにケーブルを繋ぎに行くこと。音楽がくれるエネルギーが日々を頑張るためのペースを作ってくれるから。」

これは、Power of Audioシリーズの第1章で、音楽の聴き方について話してくれた消費者の一人、グレッグの言葉です。彼の聴き方は非常に一般的だと言えます。ストリーミングとモバイル機器のおかげで、人々はサウンドトラックと共に日々の生活を送ることができます。彼らが誰で、何をして、どう感じているのか、その状況にぴったりな音楽を聴きながら、ワークアウトをしたり、眠ったり、休息をとったりしています。

数百万もの音楽リスナーの習慣について調査すると、とても興味深くクリエイティブな構図が見えてきます。人々の音楽の聴き方についてのデータとそれから導けるインサイトを活用することで、オーディオメッセージを通じて彼らの心に訴えかけられます。

オーディオをより活用するには?この章では、クリエイティブに訴えかけるキーポイントを説明します。

ストーリーを考える

記憶に残るメッセージでリスナーを楽しませましょう。

耳に残る曲、シェアされるポッドキャスト、ずっと忘れられないジングル。これらの共通点は、なんでしょうか?それはストーリーがあること。その中身がメロディであれ言葉であれ、楽しませ、興味を惹き、最初から最後まで聴かせるために作られているのです。

オーディオメッセージでも同じことが言えるでしょう。「クリエイティブを考えるときは広告マンの服は脱ぎ捨てよう。」と、オーディオ広告代理店Wordsworth & Booth社のプレジデント、Tony Mennuto氏は言います。「ショービジネスの帽子を被ろう。コメディショーのプロデューサーや映画やドラマの作家のように考えるのが大事なのです。なぜならみんな楽しみたいからです。そしてストーリーを聴きたいのです。」

この代表的な実践例がポッドキャストの中に見つけられます。GimletによるStartUp Podcastで使用された最近のVirgin Atlantic社の広告 (Gimlet Creative 制作) ではショーのホストが航空会社のグローバル飲食マネジャーに行ったインタビューで、乗客一人のためにカスタマイズされたメニューを出し、更にその名前を”George’s Bagel"にしたというストーリーを語ります。Virgin Atlantic社のshout-out (提供紹介) を最後に流すことで、リスナーはブランドに対する印象と楽しく興味を惹いたコンテンツと紐づけます。

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オーディオ広告は一般的なディスプレイ広告と比較して、2倍以上購入意向と情報入手意向を向上させます。

ストーリーで印象付けるオーディオ広告の効果はすでに実証されています。comScoreの調査によると、一般的なデジタル広告と比較して、ポッドキャストに組み込まれた広告は視聴者に自然に受け止められることがわかっています。調査対象者の多くが、聴いた後に「親近感を覚えた、知識を得た、元気になった」と感じ、2/3が広告に反応したと答え、実際に商品やサービスについて調べたり購入をしています。1

同じ法則が消費者が音楽を聴いているときにもあてはまります。Spotifyにおけるオーディオ広告全般について分析する際、Nielsenの調査でリスナーはディスプレイ広告よりもラジオやストリーミングサービス上でのオーディオ広告を好むことがわかりました。更に、オーディオ広告はより記憶に残り次の行動に繋がります。ディスプレイ広告と比較して24%多く記憶に残り、購買意欲が向上するケースが2倍になることも認められました。2 ポッドキャストやプレイリストの中で。どうすればリスナーへのメッセージが心地よい形で届き、単発ではない一連のメッセージ、つまりストーリーを通じて長期に渡って興味を惹きつけられるかを考えてみましょう。

更にカスタマイズされたやり方でリスナーに訴えかけるなら、説明文つきのプレイリストはストーリーを伝えるのに適しているかもしれません。Foxが新たなテレビ番組"Star"をプロモートする際に、ブランドプレイリストを活用し、番組に使われた音楽の裏話をシェアしたり曲間にキャストのコメントを挟んだりしました。オランダのビール会社であるGrolsch社も似たアプローチで、カナダの音楽ジャーナリストAlan Cross氏と共同で、オンタリオのリスナーに向けてインディーズ音楽の歴史のナレーションを挟んだブランドプレイリストを作りました。Cross氏のナレーションは高いクリックスルー率に繋がり、リスナーはスポンサーシップが終わったあとも引き続きプレイリストを再生し続けました。

"人はなにかに熱狂したいと願い、ストーリーを欲している。"

Virgin Atlantic社がGimletのStartUp Podcastでどのようにストーリーを伝えたか。

コンテクストを考える

広告がリスナーの求める形とタイミングにマッチしているかを考えましょう。

第1章では、聴くという行為がパーソナルかつ刺激的で、日常の行動および感情と深く関係していることがわかりました。優れた話し手は知っていることですが、聴衆の心に刺さるストーリーを伝えるには、部屋の空気を感じ取る必要があります。Bruce Springsteenのスタジアムショーは、限られた人だけが聴けるライブとは異なります。コメディアンのChris Rockは、アリーナとコメディクラブでは異なるジョークを用意して臨みます。デジタルオーディオでは聴衆が聴いている状況についてよく把握できるので「部屋の空気を感じ取る」ことは以前より簡単になりました。ですから、目的のリスナーにベストなタイミングで、その人にあったストーリーを送ることができます。つまり、コンテンツが王様だとしたらコンテクストは神様なのです。

事例: ゲータレードのAmplifyキャンペーンは、ワークアウトのタイミングを狙ってパーソナルな体験を作りました。ゲータレードはSpotify APIを使って作られたインタラクティブなサイトへリスナーを誘導し、ワークアウトセッションの時間と音楽ジャンルを最大3つまで選ばせて、ワークアウトやインターバルトレーニングにぴったりなパーソナルプレイリストを生成しました。さらに、ゲータレードはSteve AokiとDim Mak All-Starsとパートナーシップを組み、"ultimate high-energy workout mix" – 「至上最強のハイエナジーワークアウトミックス」を作り、自社ブランドのためのオリジナル音楽をSpotify上で生み出しました。

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デジタルオーディオの世界では、コンテンツが王様ならば、コンテクストは神様です。

別の例をあげましょう。スピリッツのブランド『バカルディ®』は「パーティー」というコンセプトを打ち出すため、Spotifyのブランドッドモーメントを活用しました。バカルディ®はSpotifyがパーティに利用される時を狙って、「プレイリストを制する者は世界を制す」というパーティー好きのリスナーの心に訴えるキャッチを巧みに使ったビデオを流し、バカルディ®はパーティーに欠かせない、というイメージを作りました。

「聞く」という体験そのものが広告となることもあります。人気の政治ポッドキャストPod Save Americaで、司会者のJon FavreauとTommy Vietor そしてJon Lovettが新しいブランドについて話を始めると、それは従来のコマーシャルのようには聞こえません。それはまるで彼らのいつものトークと同じで、ただ気に入っている最新のアプリやアパレル会社について語っているように聞こえます。彼らはそのカリスマ性によって、彼らのトークを聴いているリスナーの心に入り込むことができるのです。

"オーディオのユニークさはその高い没入感にあります―地下鉄でヘッドホンで聴いていても、公園でワイヤレススピーカーで聴いていても。"

Greg Boyer, US Media & Entertainment Consulting Leader, PwC

音楽を考える

音楽を効果的に活用して、リスナーの心をつかみましょう。

スターウォーズからハリーポッターまで、世界で最もよく知られている映画には一瞬で認識できる音楽がセットで存在します。記憶に残るストーリーを伝えるには素晴らしいサウンドトラックが重要です。同じように、マーケティングにおいても音楽を使うことで感情を刺激したり行動を促すことが可能です。多くのブランドは、それをよく理解しています。Ipsos社の3,500を超えるグローバル広告データベースによると、89%が何らかの形で音楽を利用しており、強調して聴かせたりBGMとして流しています。3また、ブランドイメージに合った曲やよく知られる人気曲を広告に利用するなど、音楽を正しく使った場合、購入意向を向上させることもわかりました。

「音楽は刺激もくれるし、リラックス効果もある。」と、Music Concierge社のCEO、Rob Wood氏は言います。「ジムに行くときには刺激的な音楽をかけ、スパではリラックスできる音楽を流すのは理にかなっています。音楽は身体と行動に影響を与えます。多くのブランド広告は、その目的どおり、あなたの行動に影響を及ぼそうとしています。」

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Ipsosのグローバル広告データベースの内、89%が何らかの形で音楽を使っています。

音楽を効果的に使うこと、それは広告にぴったり合う曲を選択するくらいシンプルなことです。一年で一番注目されるアメリカのスポーツ中継では、Eminemのメガヒットソング"Lose Yourself" (クライスラー社の有名な2011年のCM) から、インディーズバンド Hundred Watersの"Show Me Love" (コカ・コーラ社の2015年のCM) に至るまで、多くのCMが音楽を全面的にフィーチャーしています。今年Lexus社が視聴者を盛り上げたCMは、Siaの"Move Your Body"の音楽に乗せてフリースタイルダンサーのLil BuckがLexusの最新モデルの周りで華麗な動きを披露するものでした。

音楽を効果的に使うということはまた、ブランドイメージにぴったりの、完璧なプレイリストを監修するということでもあります。Nike社のランニングプレイリストや、BACARDÍ®社のパーティープレイリストは、それぞれのブランドを表現するため専門的に監修されたものです。ブランド以外の素晴らしい例をあげるならば、Barack Obama氏以外にないでしょう。アメリカ合衆国の前大統領はプレイリストを監修することが自身のブランドイメージ向上に繋がると考え、Billie Holidayのような過去の名曲から、最新のヒット曲Chance the Rapperまで、バランスを考えたプレイリストをシェアしました。

さらにユニークな例があります。Jack Danielは150周年を祝って、ブランドのプレイリスト “Journey With Jack”を作成しました。Highly Suspectというバンドによる解説入りのナレーションで、視聴者を150年の音楽の旅に誘ったのです。つながりのあるメッセージ(そしてFrank SinatraからMiguelに至るまでの素晴らしい音楽)によって、Jack Danielのキャンペーンは、ブランドへの興味をさらに高め、業界他社の広告効果の水準を大きく上回る結果を出しました。

"音楽と広告は、ずっと昔から協力しあっていました。"

ジャックダニエルがSpotify上でどう音楽を使ってストーリーを語ったか Highly Suspectをフィーチャー。

サウンドを考える

リスナーをあなたの世界に引き込みましょう。

マクドナルドの「パラッパッパッパー」というメロディーから、HBOの番組始まりに流れる特徴的なファズまで、音の使い方が上手いブランドの音はロゴとして認識されるほどです。全てのブランドが音でサウンドロゴを印象付けてはいませんが、オーディオがリスナーの一日を通じて重要な場面に介在するようになった近年、音でブランドのメッセージを伝えることはとても重要です。

調査でも、音を通じてストーリーを伝える方が聴衆は興味を持続できることがわかっています。ある研究では、オーディオドラマの中で効果音を使用することで、リスナーは情景を想像しやすくなりより集中して聴くことがわかりました。4Radiocenter社によるレポートでは、マーケティングミックスの中で、動画広告と共にオーディオ広告を加えることでブランドに対する脳内の関連付けがより広範囲になることがわかりました。それはつまり、リスナーが一日を通してちょうど良いタイミングで、そのタイミングにあった広告を経験する瞬間が、ブランドをより印象付けることを意味します。5

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オーディオ広告は、ディスプレイ広告と比較して平均で24%も想起率が高い。

取り巻くノイズや臨場感あふれる効果音、わくわくするようなナレーション、そしてキャッチーなメロディ。様々な音が相乗効果を生み出すようなパレットを想像してみてください。その音が、忘れられないストーリーが語る様子を。ワイン会社のyellow tailは、Spotifyのリスナーにyellow tailのプレイリストをくっきり印象づけるため、スマートフォンのアラーム音を使いました。とてつもないクリエイティビティのおかげで、オーディオ広告は私たちが想像もつかないレベルに進化しようとしています。スウェーデンの製薬会社Apotek Hjärtat社は、ストックホルムの街中でタバコの煙を検知すると咳払いをする広告版を開発しました。6

臨場感にみちた、体験型のオーディオ広告。その将来性は無限に広がっているのです。本シリーズの第3章では音声認識やAR(拡張現実)といったイノベーションが、いかに私たちを音にあふれた生活に導いていくかをご紹介します。まずは、リスナーの心にシンクロし、リスナーに忘れ難いストーリーを与えるべく、オーディオの力をいかに使うかを模索することから始めましょう。

"人の心は、様々な音に対して色々な反応を示します。"

Amy Belfi, 認知神経科学者, ニューヨーク大学

Sources for Chapter 2:

1 comScore and Wondery, Podcast Consumption on the Rise(2016)
2 Nielsen Media Lab study (2017), Information intent = top 1 box; purchase intent = top 2 box (5-point scale)
3 Ipsos, The Influence of Music in Advertising (2016)
4 The Atlantic, Inside the Podcast Brain: Why Do Audio Stories Captivate? (2015)
5 Radiocentre, Radio: The Brand Multiplier(2016)
6 PSFK, Anti-Smoking Billboard Reacts When Smokes Walk By(2017)

The Power of Audioについて

The Power of Audioは、消費者の生活におけるオーディオの役割と、それがブランドや広告主にとってどのような意味をもつかを調査し、まとめたものです。 2016年9月から11月にかけて、14人の専門家へのインタビューが実施され、46人の消費者が音楽日記に記述(内、北米、英国、ブラジル、日本の4人にインタビュー実施)。2016年12月から2017年1月にかけて、Nielsen Content Solutionsと共同で、オーディオ広告の効果測定をするパネル調査を実施。Nielsen’s study was conducted through an online panel with 4,000 respondents aged 15-54, entirely on mobile devices, using a pre/post exposure methodology. それぞれの回答者に対して、割り当てられた広告のフォーマットに応じたコンテンツが展開されました。調査の対象となった4つのキーとなるトピックは、コンテンツへの反応、ブランドイメージ、ブランド習性、広告への反応。

お問い合わせ

Spotify for Brands では、リスナーがお気に入りの音楽を聴いているときにメッセージを届けます。詳しくは、Spotify までお問い合わせください。